サステナビリティ戦略
5つのマテリアリティ(重要課題)を軸に、事業を通じて社会課題の解決に貢献
人口増加、少子高齢化、デジタル革命の進行、バイオテクノロジーの利用拡大、世界構造の多極化、気候変動の深刻化など、複雑化するマクロ環境の中、将来の予測は難しくなっています。このような不透明で不確実な時代であるからこそ、コニカミノルタのDNAを再確認しつつ、2030年にコニカミノルタが取り組むべき社会・環境課題を明確にし、そこから逆算して、企業として「今、何を成すべきか」を設定しています。
持続可能な開発目標(SDGs)や、マクロトレンドから、2030年に想定される社会・環境課題を洞察し、「解決すべき社会・環境課題」と「コニカミノルタの事業成長」の両評価軸でマテリアリティ分析を行い、取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)を2020年に新たに設定しました。
またマテリアリティごとに「2030年の目指す姿」を定め、中長期的な価値創出の方向性を明確にしています。
5つのマテリアリティと2030年に目指す姿
この5つのマテリアリティは、コニカミノルタにおける事業成長の戦略とつながっており、各事業活動の推進における基軸となるものです。それぞれの事業における価値創造プロセスに沿って顧客価値と社会価値の創出を目指して、事業成長と社会のサステナビリティを統合した取り組みを進めていきます。
価値創造プロセス
2030年に想定される社会課題からバックキャストして、4つの事業群を通して製品やソリューションによる解決策を提供します。当社の強みである無形資産(顧客関係、技術の融合、多様な人財)の活用にとどまらず、顧客との共創を通じた顧客価値創造を図ります。同時に結果としての経済価値であるキャッシュ・フローの創出、さらには社会・環境課題の解決のインパクトを拡大していく、このプロセスを持続的に繰り返していきます。
マテリアリティ特定の詳細なプロセスについては、下記をご覧ください。
マテリアリティに関連する機会およびリスク(概要)
2022年時点でのマテリアリティと関連する機会とリスクは次の表のとおりです。
当社の各事業はマテリアリティを意識した価値創造に取り組んでいます。例えば、インダストリー事業では、製造現場で熟練工の経験値に基づくスキルに依存していた検査工程を自動化・省人化することで熟練工の技術継承問題を解決すると同時に、最終製品の高品質化に貢献することで「働きがい向上および企業活性化」に寄与しています。また、プロフェッショナルプリント事業では、適時・適量・適所での生産による輸送・保管・廃棄・中間材の低減といった顧客のサプライチェーンの変革を通じて「気候変動への対応」と「有限な資源の有効利用」に寄与しています。さらに、ヘルスケア事業では個別化医療の実現と早期発見・早期診断による「健康で質の高い生活の実現」に寄与しています。
なお、サステナビリティに関するリスクは、マテリアリティのマネジメントやリスクマネジメントのプロセスに落とし込んで対応しています。
社会・環境課題 (2030年想定) |
機会 | リスク | |
---|---|---|---|
働きがい向上 および 企業活性化 |
デジタル格差 人手不足の解消 雇用や創造への機会格差 |
ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客の生産性の向上と創造的な業務へのシフトを支援 | ダイバーシティを重視した環境づくりの停滞による、従業員の自律性、イノベーション力の低下 |
健康で質の高い生活の実現 | 医療や介護の持続性が低下 医療アクセスの制限 社会保障費抑制 |
イメージングと医療ITサービスによる早期診断、医療費抑制、QOLの向上への貢献 | |
社会における安全・安心 確保 |
設備老朽化などによる労働災害発生のリスク | 画像監視による企業や社会の安全・安心の確保 高度な計測・検査による顧客の品質確保 |
製品・サービスに起因する重大事故による企業や社会における損害の発生 |
気候変動への対応 | 脱炭素社会への移行による変化への適応 気候変動による社会・経済・生態系への影響 |
ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客企業や社会におけるエネルギー/CO2負荷低減 | 持続可能なエネルギーへの転換遅れによる競争力低下 ペーパーレスの進行に対応する事業転換の遅れ 異常気象によるサプライチェーンの寸断 |
有限な資源の有効利用 | 循環型社会への移行による変化への適応 資源枯渇による社会・経済・生態系への影響 |
ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客企業や社会における資源抑制・資源有効利用 | 持続可能な原料への転換遅れによる競争力低下 資源不足による部材コストアップと供給不安定化 |